日本と世界のSRI市場

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米国市場

SRI市場がもっとも整備されているのは米国市場といわれています。2007年の米国SRI市場の総額は、2兆7,110億ドル(約306兆円)。このうちスクリーン運用は全体の77.4%以上の2兆980億ドルを占めます。SRI市場全体の内訳は、スクリーン運用のみ行うものは71.8%、株主行動とスクリーン運用両方を行うものが5.5%。一方、株主行動のみが21.7%となっています。コミュニテイ投資は260億ドルで、全体に占める割合は極めて小さいものの順調に伸びており、2007年は2005年比30%増となっています。これは、主としてスラムなど貧困地域で、既存の通常の金融機関からは融資対象とされない、低所得者層や地域の小規模事業者の経済的自立や、子育て支援など地域活性化対策をサポートするのが目的の投融資で、コミュニテイ投資専門の金融機関CDFI(Community Development Financial Institutions)を通じて行われています。こうしたコミュニテイ投資は、金額が小額の割には地域に与える影響は小さくなく、低所得者むけ住宅供給や雇用の確保などに大きな効果を与えています。
これらのSRI運用資産の総額2兆7,110億ドルは、金融機関経由で運用されている金融資産の11%を占めており、米国社会では一定の市民権を得ていると言えるでしょう。

(図表1)米国のSRIスクリーニング運用資産残高推移 

図表2)米国のSRI型投資運用資産残高(億ドル)
  1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007
SRI スクリーニング運用資産 1,620 5,290 14,970 20,100 21,430 16,850 20,980
ミュチュアルファンド 120 960 1,540 1,360 1,510 1,790 2,020
(ファンド数) 55 139 168 181 200 201 260
独立口座の運用資産 * 1,500 4,330 13,430 18,700 19,920 15,060 19,230
株主行動 4,730 7,360 9,220 8,970 4,480 7,030 7,390
(うちスクリーン+株主行動) na 840 2,650 5,920 4,410 1,170 1,510
コミュニティ投資 40 40 50 80 140 200 260
合計 ** 6,390 11,850 21,590 23,230 21,640 22,900 27,110
総運用資産に占める比率 na 9% 13% 12% 11% 9% 11%

* 宗教団体、政府機関、組合、基金、大学、保険会社、病院、企業、個人むけカスタムポートフォリオ。
** 合計金額=SRIスクリーニング運用資産+株主行動+コミュニティー投資-(スクリーン+株主行動)
出所) Social Investment Forum(SIF),  2007Trends Report, www.socialinvest.org

欧州市場

欧州でSRIに先鞭をつけたのは英国で、80年代には倫理的評価を加味したEthical Fund(倫理的投資信託)や、環境評価スクリーンを設けたグリーンファンドが設定されています。他の欧州各国でSRIが本格化し始めたのは少し後の90年代以降です。欧州全体のSRI関連データの整備は発展途上ですが、Eurosif、European SRI Study 2008の調査結果を総合すると、欧州のSRI市場は図表3に示した通り、2005年末の1兆330億ユーロ(約133兆円 1ユーロ=129円 `09年11月30日相場)から2007年末時点では2兆6,654億ユーロ(約344兆円 1ユーロ=129円 `09年11月30日相場)と倍以上の高い伸びとなっています。2000年の英国における年金法の改正で、年金基金の運用に関して情報開示が義務付けられたことが大きく影響し、以降ESGに配慮した投資が増加。これが欧州各国にも波及し、SRIマーケットの拡大に繋がっています。また年金以外にもESGの問題をリスク管理の観点から捉える宗教団体やその他の機関投資家が増えていることも要因になっていると考えられます。

 

(図表3) SRI市場の規模(億ユーロ)
コアSRI 5,117
広義のSRI 21,537
合計 26,654


 なお、上記のコアSRIESG考慮のウエイトが相対的に高く、広義のSRIは相対的に低いもので具体的な投資手法は次の通りです。

 

sri2007-e.gif

 

                   ()各投資手法は重複があるので、単純な合計は市場全体数字を上回る。

                    出所) Eurosif, European SRI Study 2008

国別では、英国が最大、続いてオランダで、両国とも年金基金の存在が大きいのが要因といえます (図表4) 。英国は、前述の通り2000年の年金法の改正により、年金基金が積極的にSRIに取り組むようになり、オランダは大部分の年金基金が、リスクマネジメントや倫理の観点から最低1つのネガティブスクリーンを採用しているといいます。
sri2007-e2.gif

 

  出所)Eurosif, European SRI Study 2008

こうした目覚しい成長を遂げているSRI投資の担い手は圧倒的に機関投資家であり、マーケット全体の94%を占め、個人投資家はわずか6%です。国によって差があり、年金を中心にSRIを取り巻く法制度などの違いからオランダ、英国、ノルウェーなどは90%以上が機関投資家であるのに対し、イタリアは日本同様個人が主体となっています。
機関投資家の種類としては宗教団体・慈善団体、公的年金、NGO、企業年金、政府機関、保険、大学等です。

 

日本市場

日本市場については、日本SRI年報2009 SIF-Japan編をご覧ください。

「SRI年報データ編」の最新データは、こちらからご覧ください。

公募SRI投信の純資産残高とファンド本数推移 (PDF)
公募SRI投信一覧 (PDF)

図表5は、公募SRI投信の純資産残高とファンド本数推移の最新のグラフです。

公募SRI投信の純資産残高とファンド本数推移

アジアオセアニア市場

この地域でのSRI先進国はオーストラリアです。オーストラリアのSRI市場は、2007年度で720億豪ドルと推定されています。オーストラリアでも90年代後半からSRI市場が急拡大しています。オーストラリアのSRI投資信託は96年から2003年までの7年で8.1倍と急増しました。なお、英国の年金法と同様に、年金基金に対して社会・環境・倫理に関する投資方針の公開が義務付けられているのも特徴です 。
多くのアジア市場の状況はおおむね日本に似ており、香港、韓国、シンガポール、インド、マレーシア、などで数個のSRI投信が自国の運用機関によって設定され、あるいは、海外のSRI運用機関の投信が販売されている、という状況です。また、多くの国は経済の発展段階にあるため、コミュニテイ投資であるマイクロファイナンス に力を入れている国が多いことも特徴として挙げられます。

(注) KoSIF(韓国)のデータによれば、09年10月現在、SRI投信は13本で残高は1,171百万ドル(約1,054億円)となっている。

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